2ヶ月ほど前、ホテルのバーで。
久しぶりに会った友人とモツ鍋を食べた後、
手っ取り早く彼の泊まるホテルの1階で飲むことになった。
その友人と会うのも久しぶりだったのだけど、ここに来るのも久しぶりだった。
ものすごく若い時にこのバーに来たことがある。
ちょうどそのとき読んでいた小説に、ホテルのバーでジントニックを飲むシーンが出てきたので真似をしたかったのだ。
ホテルのバーが似つかわしくない年齢だったけど、ジーンズでずかずか入っていった。
何も知らないというのは怖いなあ、そんな勇気、今欲しいと思うのだけど、
カウンターに座り、バーテンダーにいろいろと酒のことを質問したりしたような気がする。
してないかもしれないけど、とにかく物怖じしてなかった。
さて、おまけ程度に出てきたピスタチオも食べ終わったし、お会計、と思ったら、お金が数百円足りない。
もちろんクレジットカードも持ってなかったし、こういうときにどういう行動を
取ればよいのかまでは、無知の勇気は助けてくれなかった。
でも不思議と慌てることはなくて、困ったなー、と立ちつくしていると、
会計の若い店員は年配のバーテンダーに事情を説明に行った。
(やっとその時、恥かしくなった記憶はある、たしか)
何事かを打ち合わせて店員は僕のところに戻ってきて、
「今回は結構です」と言ってくれた。
「いやいや、そんなの悪いです」とか言いたかったけど、
悪くったってどうしようもないので、本当に申し訳なく思いながら精一杯お礼を言って店を出た。
大人になったらちゃんとお金を持ってこよう、そしてそのときもジントニックを飲もう、と決めた。
そして、(勝手に、自分と)約束してたジントニックを飲んだ。
当時のジントニックの味は覚えてなかったので懐かしい、とか涙がでそう、
なんてことはなかったが、ライムの鋭い香りとジンの苦味が心なしか、懐かしくて、時間は経った、ということを実感した。
Comments (4)
僕はバー好きですが、いい印象があっても、なにかちょっと困ってしまうことがあっても、何かのきっかけでふと思い出すことがある場所なのです。バーというところは。
行き届いてるのでしょうね。(金を持たない客を見逃せとは
教えられてないと思うけど)
いろいろと思い出すことが多いのは、やはり時間が夜だからですかね。。。
春ですなー。ジントニック春にいいかも。